徒花プロジェクトの新譜「ライ麦畑で抱き締めて」がライブハウスや音楽フェスにて手売り販売をしていますので、今週から1曲ずつ、少しだけ聴きどころを解説してみようかなと思います。今週は1曲目「白猫にゃーにゃー」です。この曲は現在、僕の一番のお気に入りで、ライブでは最後の方に演奏されることが多い曲です。そして、ぼくのやりたかった幾つかの発想を体現してくれた曲なのです。
 初めの聴きどころはやはりイントロですね。このイントロを演奏した瞬間にライブ会場にいるお客さんの空気が変わるんですね。それがはっきりと分かるんですね、皆さんの「おっ格好いい!!」っていう雰囲気が伝わってくるのです。僕がこの曲で、やりたかった1つ目のこと、「一瞬で人の気持ちを掴むキラーイントロを作る」という項目をクリアしたのです。音楽は最初の1秒で判断されてしまうと思うので、どうしたってイントロ勝負なのです。今のところ、このイントロは何度聴いても飽きないですね。かっこいいから(笑)
 それからどうしたってサビを聴いて欲しい。バンドはスピード感を増し、歌には濃厚なコーラスが施されているんですよ。最大4声で少なくても2声になっているのです。と同時に僕がやりたかったことの2つ目のこと、「皆で唄える歌詞のないシンプルなサビを作る」ことに成功したのです。
 ずーっと聴きどころなんですが、どうしても書いておかなければならないのはテナーサックス寺田淳平くんのソロですね。まずはその音色を楽しんで欲しいですね。テナーサックス特有のコクのある音を。淳平くんはそのパフォーマンスに目を奪われがちなのですが、とても良い音で吹くのです。それからね、淳平くんはワイルドな感じに見えるんだけど、非常に知的なフレーズを吹くんですよね。音の使い方、リズム、コード進行に沿うアプローチが素晴らしい。このソロではサビの勢いや唄の流れを壊さずに、後ろに控えているアルトサックスに向けて繋げる役割だったのですが、十分にその役割を果たしてくれたと思います。まるでグリードアイランド編の、ゴンとヒソカに挟まれたキルアの様にね(笑)しかし、残念なことに今回のアルバムは6曲収録されているのですが彼のソロは1曲しかないんですよね。ですので、こちらで宣言しておきます。次回のレコーディングでは淳平くんのテナーサックスを最大限に活かすような曲を書くと、ね。
 あれ、「白猫にゃーにゃー」の話をしようと思ってたのに、半分くらい淳平くんの話になってるじゃないか。他にも書きたいことはたくさんあるのですが、今回はこの辺で。