どうぶつの森の話です。たぬきちくんに無理矢理リフォームさせられて更なる借金を背負ったところからどうぞ。
 借金を背負った僕は、梨をもぎ、貝を拾い、それをたぬきちくんに売ることで生計を立てていました。少しずつ村でのノウハウを覚え、もいだ梨を地面に植えて収穫量をアップさせたり、火曜と木曜にゴミ捨て場に捨ててあるインテリアを拾って、それを売り飛ばすことも覚えました。地面に穴を掘るとオーパーツとか化石とかレアアイテムが出て来て、それは本来、村の博物館に持っていて寄付しなければならないのですが、背に腹は代えられず、僕はなくなく商店で全てを売り払っていました。僕は自分が借金をしているという状態が許せなかったのです。おかげで僕の部屋にはベッドと電話の他には何も置かれていない状態でした。そんなこんなで借金を完済するも、たぬきちくんってば「どう? もっとリフォームしてみない? 暮らしにも慣れてモノが溢れているでしょう?」なんておっしゃるわけです。僕は歯軋りしながら「いいえ」を選ぶんですが、広くなった部屋に一つのインテリアもなく、虚しい気持ちで梨を地面に埋めるのでした。市役所の前の掲示板には『たぬきち商店の圧倒的搾取』とか『悪は滅びろ』とか書き込みました。ネットが炎上する理由がなんとなく分かった気持ちになりました。借金の返済を諦めて、インテリアを増やし始めた僕にたぬきちくんは「もっと収入を増やしたいのかい? だって君借金してるもんね。 他の村人と仲良くするのがビジネスチャンスに繋がるよ」と言われて、「意識高いIT社長かよ、秒速1億円かよ。繋がり? 六本木でアホみたいに酒飲んでる若手俳優かよ」とか思いながら、村人とのコミュニケーションを開始したのです。
 村人の中には僕が留守の間に勝手に家に入って来て、「このソファいいなあ、俺にくれよ」って言ってくるタイプのジャイアン的な存在のゴリラくんがいたので、もうそいつが二度とこないようにする為に、僕は全てのインテリアを処分したのです。静かに暮らすのがこんなに難しいなんて僕は思わなかったのです。僕は村中の空いてるスペースのほとんどに梨を植えていたのですがこれ以上の収入アップはなかなか見込めなかったのです。梨は3日に1度くらいしか実らないのです。僕はこのゲームの世界で完全に梨園のオーナーみたいになっていたのです。他人の家のチューリップも売り飛ばしました。売れるものは全て売りました。一時期は釣りもしていたのですが、技術がなかったので結局釣り竿も売り払ってしまいました。来週は僕がこのゲームを引退した理由に迫ってみたいと思います。