大阪王将を食べて、再び眠くなって、なんかまたもうどうでもよくなってきた僕は夜の内に移動を試みるのです。僕は朝になったら、小豆島に向かおうと思っていたのです。今回の旅の終着点は小豆島だったのです。どうして小豆島に行きたかったのかは分からないけど、とにかく小豆島に行かなきゃ帰れないんだよっていう熱い気持ちになっていたのです。

 高松港の近くのパーキングに車を停めて、ホテルを探そうかなと思いつつ雨強いからもう車で寝ればいいやっていうズボラさで夜をやり過ごしまして、いざ、朝になったら雨が止んでいたのです。高松は朝七時くらいからうどんスタンドが営業しているので、釜玉うどんとかしわ天を頂きました。高松に行ってから僕はとり天が滅茶苦茶好きになってきて帰ってきたんですよね。うどんは勿論美味しいんだけど、天ぷらも最高。結局僕は香川に居た一日半でうどんを七回食べました。現地の食べ物は気合を入れて何回も食べます。現地の食べ物で体を満たすと、その土地に馴染むような気がするのです。実際に気がするっていうか馴染みます。体が土地に馴染むと心が軽くなって、明るい人間になります。ってことは、そうか僕は関東の土地に生まれたのにずーっと馴染んでいなかったってことか。書きながら軽く絶望したわけですが。

 通勤ラッシュの時間を避け、午前十時にフェリーに乗る手続きをしました。車を持って行くか持って行かないか悩みましたが、僕は結局車ごとフェリーに積んで小豆島に向かうことにしました。これは雨と移動対策ですね。フェリーには一時間くらい乗っていました。当然台風なので観光客はなし。トラックの運転手さんと地元の漁師さん風の人しかいない。僕は初めての場所に浮かれているので、小豆島川柳の応募用紙に川柳を何個も何個も書いては箱に入れていくという作業をしていました。川柳を二十個くらい捻り出し、疲れてきたので、フェリーの売店でコーヒーを買いました。紙コップで出てくるのかなと思っていたら、ちゃんと受け皿にカップを置いてくれて、ドリップ仕立てのコーヒーを飲むことが出来ました。「角砂糖は幾つ使いますか?」と売店の美人のお姉さんに訊かれたので、僕は見栄を張って「二つください」って言いました。本当は六個欲しかったんだけど、「え?」って訊き返されるのが、予想出来たので、遠慮しておきました。慎み深い僕は一時間ばかりの船旅を楽しみ、小豆島に辿り着いたのです。小豆島に着いた頃が台風的にはピークで、結果から言うと、本当に何にも出来ずに島を二周ドライブして帰ってきました。途中、オリーブ園に寄ったら、神戸から来たであろう四人組の男女が台風を嘆いていました。僕の旅は続きます。御機嫌よう。