最近(11月末現在)、僕はココアにハマっています。普段ならカフェラテやミルクティーが好きな僕なのに。「ああ、こんなに甘くて美味しい飲み物があったなんて、毎日飲みたい、なんならずーっと飲んでたい」みたいな気持ちで書いています。

 ココアとの出会いは真夜中のSEIYUでした。紙パックに入った1リットルのバンホーテン。彼女は頭に割引シールを貼られ、今か今かと処分の時を待っているのでした。僕は何故だか彼女が気になって家に連れて帰ることにしました。きっと疲れていたのだと思います。そうでなければ、僕はココアなんかに見向きもするはずはないのだから。家に帰るとすぐに、僕は割引シールを剥がすこともせずに、彼女に接吻をしました。彼女の中の茶色い液体が僕の口の中を満たしていきます。その時に初めて気付いてしまったのです。空っぽの体に彼女の優しさが浸み込んで、こんなにも幸せな気持ちになってしまうことに。僕は彼女を半分くらい一息で飲み干すと、すぐに眠りにつきました。それはそれは穏やかで素敵な眠りでした。目を覚ますと、彼女は僕のすぐ隣で昨日と同じ姿勢のまま、待っていてくれました。僕はベッドから出ることもせずに、彼女を抱き寄せて求めました。それが二度目の接吻でしたが、同時にお別れでもあったのです。

 口の中に広がる幸せが忘れられずに、僕はココアを求めてコンビニエンスストアやスーパー、自動販売機を彷徨いました。何処で買ったココアもとても美味しかったです。特に、コンビニに売っていたストローを挿すタイプのココアは、カカオの味がとても濃くチョコレイトみたいな舌触りで僕に幸せな気持ちを思い出させてくれたのです。しかし、その蜜月も長くは続きませんでした。そう、ストロータイプの味の濃いココアは初めての夜のバンホーテンちゃんよりは割高なのです。そう、まるで一夜の逢瀬の様に。しかも、とんでもないカロリー。一本200キロカロリー。こんなことを続けていたら音楽家として僕は駄目になってしまうと思いました。

 僕が辿り着いたのは、自分で作る粉のココアでした。沢山飲めて、味の濃さも調整できる。僕はスプーン3杯くらいの優しさじゃ我慢できないから、だいたいその2倍の濃さで作る。豆乳で割り、カルシウムたっぷりの牛乳で割り、普通の牛乳で割る。様々な味の変化を楽しんでいます。

 いつか粉のココアをバンホーテンちゃんで割って飲む日が来るんじゃないかと思うと、自分が恐ろしいです。

 そして、全ての過ちはココアを擬人化したことから始まっています。