さて、今週も引き続きファンの方からコラムのお題を頂いております。

「曲作りの過程というかアレンジで工夫していることを教えてください」

 前回の作曲の回はとんでもない天狗っぷりを発揮してしまったので、今週は主に編曲について書いてみたいと思います。

 作曲を終えた後に管楽器のフレーズを書いたり、ハーモニーを付けたり、展開を考えたり、誰がソロをやるのかを決めたり、キーボード、ベース、ギター、ドラムスなど演奏方法やビートパターンに個別に指示を出していく作業が編曲です。

 主にこれらの作業は僕の家で、譜面を書くついでに行われています。僕が一番大事にしているのは管楽器にどんなメロディを吹いてもらうかを作曲するのと、どんな展開にしてその曲を盛り上げていくのか、見せ場をどう作っていくのかを考えていくことです。

 アルトサックス伊藤くん、テナーサックス寺田くんのフレーズは歌の次に目立つべき音を担っています。二人とも恐ろしく初見演奏力(初めて見る譜面でも間違わずに演奏できる能力)が高いので、僕が机上で考えてきた音はほぼ100%で再現されています。更には、二人ともサックスが上手なんですよね、編曲するうえで、これは本当に奇跡的なことで、二人への感謝を欠かしてはいけないのです。ここまでが家での作業です。

 実際にスタジオに入って、僕の書いた譜面を基に演奏していきます。余計な先入観をメンバーに持たせたくないので、先に音源を聴かせることはほぼありません。「譜面上は○○になってますが、△△の方がよくないですか?」「コードを××に代えたいんですけどこだわりありますか?」的な会話で曲を整えていくのがキーボード越智くんですね。鍵盤をやる人は曲を真上から中立的に見ているんだなというのが僕の感想ですかね。「Aメロは○○なパターンでBから△△にして、終わり方は××に直した方がよくない?」的な感じでビートを決めていくのはドラムス白倉くん。譜面だけでは伝わりづらいディティールに関して提案してくれるのは伊藤くん、ハーモニーの音に関して提案してくれるのは寺田くん。

 100%で僕の思惑通りにはなりませんが、それがバンドの楽しいところ、化学反応なのではないでしょうか。今週は謙虚に終われたのでほっとしています。