音楽を真剣に続けていると時々、本当に時々だけど神様がご褒美をくれることがあるのです。それは僕にだけしか分からない形でひっそりと送られてくるギフトのようなものです。今週は僕に起こった嬉しかったことについて書いてみたいと思います。
僕の曲にはおいては基本的に、登場人物やそこでのストーリーはフィクションであることが多いです。と、言うのも自分を題材にするのは恥ずかしいし、傷がえぐられる様であんまり……。モデルのような人物が居たとしても、そのパーソナリティは何か別の物(過去や理想、記憶、もしもの世界)と混じり合ってモデルの人物とは異なっていきます。そんな中で、「いつかあなたとピンクの薔薇を」という曲は例外的にしっかりとモデルの人物(女の子)が存在しているのです。
その女の子とは三年前の夏(書かないけど日付や曜日まで覚えてる)に旅先で出会いました。僕はギターを持って5泊6日の一人旅の途中で、観光をしたり、地元の人々の会話を聴いたり、海辺の駐車場でギターを弾いたり、ノート(不自由帳)にコラムの断片のようなものや、日記的なもの、考えていたこと、旅の感想など、書きながら移動を繰り返していました。アルバム「カタルシス」を作ったあとで、作業後の喪失感というか、とにかく心が空っぽになっていたのを覚えています。
旅先に居られる最後の日に、僕は偶然彼女と出会うのですが、目が合ったその瞬間に恋をしてしまったんですね。上手く言葉に出来ないけど、たぶん彼女の持っている空気感のようなものに。僕たちは2時間くらいお喋りをしてお別れしました。彼女と別れた後、旅先での思い出が全部、色褪せてしまったんですよね。それから、したいことも聴きたい音楽もなくなった。その時の気持ちを帰り道に作詞したのが「いつかあなたとピンクの薔薇を」という曲なんですが。
ここからが嬉しかったことで、発売中の「徒花キャバレー」を彼女が買ってくれたみたいで、たくさん感想を教えてくれたんですよね。その感想を読みながら、緊張してお腹が痛くなって吐きそうになるくらい嬉しかった。そして、音楽をやっていて良かったなあと心から思ったわけです。心の水瓶に溢れるくらいに水を注いでもらったし、ずっと唄い続けられるようなビターなバラードを授けてもらったし、時を経て、また僕の心を温めてくれた彼女に感謝。
やっぱり自分のことを文章にするのは恥ずかしいなあ。