今週はふと思い出した話を書いてみたいと思います。記憶は曖昧で何か別のものと溶け合って、また別の何かになってしまうのだけれど。
僕が高校二年生の秋頃、学校に行くのも意味が分からなくなって二週間近くずる休みしていたことがありました。その間、僕は一度朝に制服を着て出掛けた振りをして、母が仕事に出掛けた頃に家に帰ってグズグズと眠ったり、漫画を読んだり、ドラゴンクエスト7をやったりして時間を潰していました。家に帰らないで図書館でよく分からない本を読んで時間を潰したり、河川敷でぼーっと座ったりしていました。今とやっていることが変わらないような気もしますが。それから、気が向くと4限くらいに学校に行って、昼休みを学校で過ごして5限目には帰るというような、一般的には荒んだ高校生活を送っていました。高校中退して暇そうにしてたヤンキーぽい女の子とカラオケに行くっていうイベントもあったな。今となっては、そういえばこんなこともあったなあと思うだけなんですが、当時17歳の僕は一体何に傷付き、何を求めていたのでしょうか。
進学校で落ちこぼれていたのは理由の一つかもしれないけど、特にいじめられたり無視されていたりとかはなかったし、話し相手や部活(吹奏楽委員会)の仲間も居たんだけど、何というか漠然した孤独とか不安を感じていたように思います。でも、その不安とか孤独の正体が分からないままなんですよね。考えることをその時止めてしまったんですね。だから、根本は解決していなくて、今でも同じような孤独や不安を感じてしまうことがあるのです。無力感のようなもの? このコラムを読んでる皆さんもこんな気持ちになることがあったのでしょうか? もし、知っている人が居たら教えてください。
二週間ぶりに学校に行くと、木曜1限の音楽の先生が「及川、あと一回休んだら成績がつけられないから留年になるよ」と僕に言いました。やれやれ、と思いながらそれから僕はなるべく学校を休まないようになりました。僕は学校というシステムそのものに敗北したのです。放課後、久しぶりに部活に行くと知らない女の子がクラリネットを吹いていました。僕が休んでる間に新しく入った1年生でした。初対面なので「トロンボーンの及川です、宜しくね」と彼女に挨拶をすると、彼女はにっこりと微笑んで「知ってますよ」と言いました。
僕の不安も孤独も、その時に吹き飛んだのです。女の子にはいつも笑っていてほしいものですね。