先週書いたクラリネットの女の子の話でもう一週分書けてしまいそうなので、今回は前回の続きです。

 無事に学校や部活にちゃんと出席するようになった僕は、毎日彼女に会えるのを楽しみにしていました。僕は二週間サボっていたので、ペナルティで次のコンサートに12曲しか演奏させてもらえないんですね。そして、彼女は楽器を始めたばかりでまだ人前で演奏するようなレベルではないので、やはり次のコンサートは出られないんですね。ということは、僕が参加していない曲を合奏の練習をしてる時、僕は彼女に譜面の読み方とかリズムとか教えたりする係(僕が勝手に決めた)だけだったのです。僕も彼女も有り余る時間の中で個人練習に退屈していたので話も弾みました。こうして僕らは少しずつ仲良くなっていったのです。

 定期テストで部活が休みになった時に、偶然駅前で彼女に会ったのでメールアドレスを交換して、あまり会えないテスト期間中も勉強の合間にメール交換を楽しんでいました。まあ、僕はあんまり勉強してないんですけど。最近だったらLINEとかTwitterとかで連絡先を交換しなくても気軽にメッセージをやり取り出来るのでシャイな人にも優しい時代になりましたね。僕の高校時代は赤外線通信で連絡先を交換するのが主流でした。「アドレス交換しよう」って言った時はとても緊張しました。もっと昔だったら家に電話しなきゃいけないので、そんなのもうドキドキですよね。とにかく、家でも彼女と他愛ないやり取りができるのがとても嬉しかったです。

 こんな感じで仲良くしていたのですが、ある日全く連絡が来なくなってしまうんですね。それから三日くらい返事がなくて、嫌われたのかなってしょんぼりしていると彼女から「具合悪くなっちゃって返事できませんでした。今も入院してます」って返事が返ってきたんですね。びっくりしたし、心配だったし、会って話したかったのでお見舞いに行くことにしました。学校は終業式の準備でサボっても問題なさそうな雰囲気だったので、普通に学校へ行く感じで家を出て、30分くらい電車に乗って彼女の入院している病院の最寄り駅まで行って、それからまた病院まで人に道を訊きながら45分くらい歩いてなんとか病院に辿り着きました。彼女は青白い顔をしていましたが、それ以外は元気そうで、僕が来たのをとても喜んでくれました。

 僕は春めいてきた風の中、元来た道を歩きながら行こうと思えば何処へだって行けるんだなと実感した。思うのでも、理解するのでもなく、ただ実感したのです。以上、思春期の話でした。映画デートの話はまたいつかね。