コメダ珈琲でモーニングを食べている。好きなドリンク(僕の場合はたっぷりアイスカフェラテ)にトーストがつく。ゆで卵か、卵ペースか、小倉あんも選んでつけることが出来る。なんて素敵なシステムなんだろう。しかも、この店舗はコンセントがあるから、こうして朝ご飯を楽しみながらコラムだって書ける。朝7時から営業しているのもいい。店員さんの感じもいい。
僕の横の席には朝日新聞を読んでいるおじさんがいる。50歳くらいだろうか。正確な年齢は分からない。50歳くらいかと思ったら60歳過ぎなんてこともありえるだろう。人は服装と態度で年齢を隠せる。新聞なんか読んでいるから、もっと年上なんじゃないかとも思う。25歳くらいかと思っていた女性が40歳だったなんてこともあるので、僕の目は宛てにならないけど。
おじさんは、ホットコーヒーとトーストを頼んでいた。ゆで卵や小倉あんは要らないと言っていた。オーダーを取りに来たのは若い眼鏡のお兄さん。爽やかである、23歳くらいだろうか、いや、もう分からない。とにかくおじさんは高圧的に注文していた。嫌だなー、偉そうで怖くて、安いモーニング食べに来てるくせに一丁前にその自意識はなく、相手が自分より若いってだけで、恐らく初対面のくせに敬語も使えないおじさんになりたくないなー、怖いなーと思いながらその様子を見ていた。
しばらくして、コーヒーとトーストが届く。運んできたのはベテランシフトリーダー的な雰囲気を醸し出している女性の方だ。「コーヒーとモーニングのトーストでございます」と言うと、おじさんは「はい、はーい」と穏やかな声で返事をしていた。さっきとはえらい違いだな。高圧的な印象はない。トーストをくちゃくちゃ音を立てながら食べている。あんなにふわふわさくさくの焼き加減の最高のトーストをどうやったらあんなにくちゃくちゃ音を出せるんだろう、不思議だ。足を組んでいる為、おじさんは斜向かいの僕の方に顔を向けながら食事をしている。非常に不快である。口は閉じてご飯食べようね、おじさん。心の中で話し掛けた後、一瞥。やがてトーストを食べ終わり、26歳くらいの感じのいいお姉さん(僕がコンセントのある席がいいんですけどって言ったら快く探してくれた)が「お済みのお皿をお下げしますね」と言うと、おじさんは猫撫で声で「うん、ありがとう」と言った。おじさんの甘えた声なんて朝から聞きたくなかったよ。こうやって何種類かある自分の中のモードみたいなものを使い分けているんだろうな。やっぱり人間って気持ち悪い。というか、男の人ってそういうのがあからさまで気持ち悪い。そう僕が感じるのは自分が男だからかもしれないが。誰に対しても紳士でありたいと思ったとある朝の話。おじさんはやっぱり甘えた声でコーヒーのおかわりをしていた。気持ち悪いなあ。ごきげんよう。