夏の初めに、色々なことを考えるような出来事がありました。今日はそんな話をしてみたいと思います。
じゃあ、何故僕が曲を作ったり、詞を書いたりしなくちゃいけないかっていうと、それは「喪失」に依るところが大きいのです。持っていたものを失う、これまでの関係が変わる、抱えていたものが消える。そんな風にして空いてしまう心の穴を色々な角度から見つめ、埋めようと試みることが僕にとっての制作の原点のようなものです。消えてしまう瞬間のこと、消えてしまいそうと知覚したときのこと、消えてしまったその後の世界……。様々な時間軸から考察していくわけです。
では、消えてしまったものに対してどう折り合いをつけていくのか。これが制作の二つのテーマになっていくわけです。現時点での僕の解答は、思い出すだけでいいってこと。何曲も何曲も書いていく中でようやくそう思えるようになっていったわけです。これはなかなかの進歩だと個人的には思うのだけれど、やっぱり何年も費やしているし、もっと物事をよく観察していかなきゃなって気持ちにもなるわけ。
徒花プロジェクトのファーストアルバム「カタルシス」っていうのがあるんだけど、それをとても素敵な場面でBGMとして流してもらったことがある。一曲目から改めて聴いていると、雨の描写がとても多いことに気付く。僕は意識していなかったにも拘らず、半分くらい雨が降っていたのです。そして、最後の曲、最後の一節で「ありふれた幸せと思い出は雨に濡れない」って詞が出てくるんだけど、それを聴いて四年前の僕が書いた言葉が四年後の僕を救ってくれたって思ったのです。少しずつでも書き残しておくことが、やっぱり大切だなあって改めて感じました。
徒花プロジェクトは今年の秋、冬あたりからまたアルバムを作っていくから楽しみに待っててね。それまでは動画でも見ていてくれたら嬉しいよ。